毎年2月の初午の日に行われる祐徳稲荷神社の初午祭。稲荷神社としては年に一度の大祭となるこのイベントでは、華やかな伝承芸能が披露され、多くの参拝者でにぎわいます。この記事では、過去に行われた初午祭の様子を紹介しています。
初午とは
2月最初の午の日を「初午(はつうま)」と呼びます。稲荷神社の総本社である伏見稲荷大社の神様(稲荷神)が2月の初午の日に伊奈利山へ鎮座したことから、祐徳稲荷神社を始めとして、全国の稲荷神社ではこの日を特別な日として盛大なお祭りを行います。
境内で披露される伝承芸能が見所
祐徳稲荷神社は商売繁盛のご利益で知られています。初午祭では、幸運や金運をかき集める「熊手」という縁起物が人気です。
初午祭のイベントは、参拝をして縁起物を買うだけではありません。神社の境内では普段なかなか見られない地元の伝承芸能が披露され、毎年多くのカメラマン、マスメディア、参拝者が見学に訪れます。
平戸神楽
長崎県平戸市に伝わる平戸神楽(ひらどかぐら)です。国の重要無形民俗文化財に指定されており、九州を代表する神楽です。今回は「二剣(にけん)」と「二弓(にきゅう)」という演目が披露されました。
二剣は3本の真剣を使う非常に難しい演目です。2本は両手に持ち、1本は口でくわえます。笛や太鼓の音に合わせて、両脇に刀をはさんで後転したり、華麗に舞ったりします。
嬉野ふれあい音頭
鹿島市に隣接している嬉野市の藤生会が7演目ほど日本舞踊を披露しました。
美しい着物を着た踊り手が歌に合わせて優雅に踊ります。
嬉野市の特産品といえば「嬉野茶」があります。まろやかな風味が美味しいと人気のお茶で、祐徳稲荷神社の門前商店街でも扱っているお店があります。そんな嬉野茶にちなんで、かごを片手に茶の葉を摘む所作が踊りに含まれる「嬉野茶摘小唄」が披露されました。
最後には茶摘かごからお茶飴と甘納豆を取り出して観客にまかれました。
大村方獅子舞
鹿島市の「大村方(おおむらがた)」という地域に伝わる獅子舞です。赤と青の平たい顔が特徴です。
途中からは「剣使い」も演舞に加わります。
上古枝面浮立
祐徳稲荷神社の周辺地域を「上古枝(かみふるえだ)」と呼びますが、そこに昔から伝わる面浮立(めんぶりゅう)が披露されました。
面浮立とは、鬼の面をつけ男性が首から吊り下げた小太鼓を叩きながら踊る民俗芸能です。
面浮立は佐賀県を代表する民俗芸能として知られており、他の都道府県では見られないものです。シャグマと呼ばれる頭の毛を激しく振り回しながら力強く踊る姿は初めて見る人にとっては衝撃で、市内で面浮立が披露されるイベントは毎回大勢のカメラマンが集まります。
今回は4歳と6歳の地元の子供も面浮立に参加していました。3歳から練習を始めたそうで、小さい体で一生懸命踊っていました。
門前商店街の道行
神社に向かって獅子舞や面浮立が奉納しながら進んでいくことを「道行(みちゆき)」と言います。神社の参道として昔から続く風情のある商店街で見る伝承芸能は、境内とは違った良さがあります。
獅子舞が商店街のお店の中に入って邪気を追い払います。商品に当たらないように、すれすれを通っていくところが凄いです。
獅子舞の少し後に面浮立の道行も始まりました。神社から離れた参道の下の方から始まり、面浮立を披露しながら少しずつ進んでいきます。祐徳稲荷神社の三百年祭を記念して建立した大鳥居を背景に勇ましく踊ります。
いなり寿司を食べよう
1年で最も運気が高まると言われる初午の日は、幸せを願いながらいなり寿司を食べる習慣があります。門前商店街には食事ができる店がいくつかあり、いなり寿司が名物になっています。初午祭の後は門前商店街で食事や買い物を楽しんでください。