鹿島市は有明海や多良岳山系など自然が豊かなため、美味しい海の幸や山の幸がとれます。また、「民俗芸能の宝庫」と呼ばれるほど市内の各地には先祖代々から民俗芸能が継承されています。こうした環境で生み出される鹿島市ならではの特産品が、一年に一度、この特産品祭りのときだけ一堂に会します。
鹿島市特産品まつりとは
会場は祐徳稲荷神社の参集殿です。ここは正月の団体祈祷や各種イベントに使用される建物で、祐徳門前商店街を抜けたすぐ右側にあります。特産品まつりは、祐徳稲荷神社の「お火たき」という神事に合わせて開催されます。
参集殿の中へ入れば、様々な特産品が目に入ります。もちろん、お土産に購入することができます。
お火たきを目当てに市外や県外から来た人は、鹿島市の特産品について詳しく知らない人もいると思うので、その場合はぜひお店の人に話しかけてみてください。おすすめの商品や特徴などについて優しく教えてくれるはずです。
試食が豊富、鹿島市の特産品が勢ぞろい
特産品まつりの会場に足を踏み入れると、試食が豊富なことに気がつきます。実際に特産品に触れたり食べてみることで、その良さを実感できます。上の写真は「漬蔵たぞう」という漬物屋です。鹿島市の肥前浜宿という地域で100年以上の歴史をもつ老舗。美味しそうな漬物を前に、たくさんの人が試食をしていました。
お店の人におすすめを聞いてみると、「どれもおすすめです。人によって好みが違うので、実際に試食してみてください。」と言われました。特に珍しい漬物としては「スイカの奈良漬」を紹介してくれました。
「浜蒲鉾」というかまぼこのお店の前には、祐徳稲荷神社の巫女さんが試食をしていました。
市外の人にはあまり知られていないかもしれませんが、かまぼこは特産品の一つです。昔は肥前浜宿という地域にたくさんのかまぼこ屋が並んでいたそうですが、現在は数が減り、それでも市内でかまぼこ屋を営む会社がいくつかあります。その場で温めたかまぼこを試食として食べさせてくれました。
海苔も鹿島市の代表的な特産品の一つです。秋から冬にかけて、鹿島市に隣接している有明海には海苔の網がたくさん設置されます。有明海は干満の差が激しく、潮が満ちているときには海水の栄養分を吸収し、潮が引いているときには太陽の光を吸収できます。今年収穫されたばかりの海苔を「新海苔」と呼び、風味が非常に強い海苔になっています。
鹿島市の肥前浜宿という地域には「酒蔵通り」と呼ばれる通りがあり、酒造りが盛んです。市内には酒の醸造を続けている酒蔵が6つあり、会場にはそれぞれの酒蔵から主要な銘柄を用意していました。
鹿島市といえば有明海、そして有明海の生物といえば「ムツゴロウ」が有名です。そのムツゴロウを食べやすく調理して販売しているのが「川田食品」というお店です。
人気商品は、ムツゴロウを自家製醤油タレに漬け込んで乾燥させた「丸干しむつごろう」です。乾燥させることでおかしのように食べやすくなり、味付けは甘めで子供も好きそうです。川田食品で開発した珍しい食べ物なので、お土産にも喜ばれると思います。
特に試食が充実していたのが「海道(みち)しるべ」という施設のスイーツです。マドレーヌやプリンなど見た目も可愛らしいものばかりです。食材は地元産にこだわり、地元企業とコラボして開発した商品を安く販売しています。
特産品まつりが開催されるのが年末ということで、「松浦印刷」からは鹿島市の名所やお祭りの絵が描かれたカレンダーを販売していました。
こちらは、市内で手作りの子供服や小物を販売している「IRO」というお店です。布を仕入れてそこから全て手作りするそうです。オーナー独自のアイデアを加えて作っているので、このお店ならではの洋服を買うことができます。子供服ということで特に生地にこだわっているそうで、ニット素材など着心地が良いものを使っています。
鹿島市だけではなく、嬉野市と太良町の特産品も販売
特産品まつりのすごいところは、鹿島市だけではなく、隣接している嬉野市と太良町の特産品もあることです。鹿島市、嬉野市、太良町は広域で連携して観光の振興を進めており、会場にはそれぞれの自治体から観光案内のスタッフが来ていました。
こちらは、太良町の名物である「竹崎カニ」を使ったコロッケです。とても人気の商品で、お土産に買っている人がたくさんいました。
嬉野市で農家の後継者となる若者が生産・開発した「うれしの茶」の試飲がありました。うれしの茶の特徴を聞いてみると、甘みがあって風味がまろやかになっているそうです。
伝統工芸の制作実演やイベントも充実
こちらは、鹿島錦保存会のメンバーによる鹿島錦の制作実演です。数センチの布を織り上げるのに何日もかかるそうで、会場では実際に制作している様子を見たり、話を聞くことができます。
浮立面を彫っている様子も眺めることができます。鹿島市には「面浮立」という鬼の面をつけて踊る民俗芸能が各地に残っており、その際に使用する面が浮立面になります。
筆ペン書道家の東尚史氏による書道パフォーマンスが行われました。はかまを着て、音楽に合わせて大きな紙に文字を書いていきます。一筆一筆丁寧に書いたり、時には大胆に書いたりと、見ていて飽きません。自分が好きな言葉を書いたそうです。
会場にはゆるキャラが登場し、子供たちが喜んでいました。今回は、鹿島市の「かし丸くん」、嬉野市の「ゆっつらくん」、太良町の「つきみん」と「がねった」が勢ぞろいしました。ステージ上で地元子供たちによるダンスが披露された後は、ゆるキャラも一緒になってみんなで合唱が行われました。
終わりに
年に一度、鹿島市および周辺地域の特産品が集まるイベントが特産品まつりです。試食が多く、生産者の話を直接聞けるので、旅行のお土産をここで買うのも良いでしょう。祐徳稲荷神社のお火たきと一緒に、特産品まつりにも足を運んでみてください。